私がCSR(企業の社会的責任)という言葉を意識したのは、2005年。Newsweek(2005.6.15)に掲載された「世界企業ランキング500」というのを見てからです。

評価の方法は簡単に言えば、「財務力」と「CSR(社会貢献)」をそれぞれ60点満点で評価し、その両方の総合得点で評価したものです。

■財務の視点(直近までの3年間)
●収益性(資本営業利益率・売上高営業利益率)、成長性(売上高の年平均成長率、営業キャッシュフローの増減分類、年平均成長率)、安全性(利息の支払い能力)

■CSRの視点
● 企業統治(取締役会の独立性、法令遵守体制、倫理規定)、従業員(機会均等、健康と安全、雇用安定、女性取締役の比率など)、そして社会(途上国での人権保護、公正な調達、社会貢献活動など)

※財務データは米スタンダード&プアーズのCompustatより、CSR評価は英国調査会社EIRIS(エシカル・インベストメント・リサーチ・サービス)のデータを活用しているようです。

これを見て、目から鱗が落ちるような気持ちになったことを覚えています。その評価には「社会に良いことをして、利益も出す」という理念が見られたからです。

「社会に良いことをして、利益も出す」〜これはまさに近江商人の活動理念である「三方良し」=「売り手よし、買い手よし、世間よし」の理念とほぼ同じではないでしょうか?

2005年のニューズウィークの世界企業ランキングの発表以来(何年から始まっているかは把握してませんが)、現在では日本でも日本経済新聞や東洋経済などのCSRランキング、投資マーケットでもモーニングスター社の「社会的責任投資株価指数」や米Dow Jones Sustainability IndexesによるCSR格付(英語)など、今やCSR各付けのオンパレード。


最近ではNewsweek誌は「グリーン企業ランキング」(英語名:Newsweek 2009 Green Rankings for US Companies)という指標を出していますね。これは複数のCSR調査機関のデータを活用し、多角的に企業の環境への取り組みを評価したランキングです。

こうしたランク付けが企業価値や株価にも影響するとあって、今や「何で自分で儲けた金を社会に投資しないといけないの?」という発言は企業トップにおいては御法度、また具体的なCSR活動を展開するにおいても「露骨に見返りを期待するようなイベントやキャンペーン」を実施すれば、返って企業価値を下げかねません。

でも「企業は収益を上げて、持続的発展を続けて行く」というミッションがあります。そこで求められるのが「三方良し」〜利益の還元で社会や人々が喜び・感謝する、しかもそこにはさりげなさと企業倫理や社会倫理に遵守した還元でなければならないということです。

一過性の利益ではなく、利益を上げ続けるには長期的なブランド構築活動が必要と言うことでしょう。社会と消費者の信頼を獲得し続ければ、次なる利益を生む商品・サービスを支持してもらえる〜つまり、未来への投資とも言えるのではないでしょうか。

中には「儲けているから、当たり前」、「所詮、見返りを期待しているだけ」という声もあるとは思いますが、例え、そうであったとしても、最終的には社会や人々の利益になるのであれば、「三方良し!」だと、私は思います。

そして、今回の未曾有の災害である東日本大震災への義援金や物資による支援、救援部隊の派遣などを世界中の企業が一斉に展開しているのも、ひとえに「CSR」という考え方が着実に多くの企業で根付いているからに違いありません。

前置きが長くなりましたが・・・「えぇ〜まだ前置きなの?」・・・すいません。
今回の企業の支援内容は業種を問わず、賞賛するに値すると私は思います。その支援内容の一部は前回のブログでも紹介しましたが、今回は製薬業界を紹介したいと思います。

何故なら、私が初めてCSRランキングを見た時に、医薬・バイオ関連企業が本当に多くランキングしていたからです。やはり、人の命を預かり・紡ぐミッションをもつ製薬メーカーは社会的貢献の意識が高いのですね。(その逆で映画や小説では闇の部分が暴露されている業界ですが、私はその真偽は図りかねます)。

そして、ようやく結論です。2011年4月3日までの各製薬企業の支援内容をまとめてました。
製薬会社震災支援一覧(PDF/別ウィンドウで開きます)

実際にこれだけの支援をする事実を見ると「CSR」を経営のトッププライオリティに置く、製薬企業の徹底ぶりが伺えます。様々な憶測が飛び交う業界ですが、一覧表を見ながら「凄い」と素直に感動しました。
皆さんは、どう思われるでしょうか。

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