舟でのんびりと15分、左前方に宿が見えてきた。

京の千年文化を若者が未来に紡ぐ「水辺の私邸」。

HOSHINOYA Kyoto 星のや 京都(取材日:2010年8月2日)
2009年12月12日に京都・嵐山にオープンした「星のや京都」の取材に行って来ました。「百人一首」「源氏物語」の頃より貴族・文人が幽玄世界を知的 に遊んだ古都・嵐山の渓谷・嵐峡(らんきょう)の地。「槻の川 赤柄の傘を さす松の 立ち並びたる 山のしののめ」と、与謝野晶子も詠ったという風雅な 空間へ、渡月橋から舟で向かった。
星のや 京都へは雨風や川の波が強い日(専用の小型車を利用)を除いては、同宿専用の嵐山の船着き場から船で宿に向かうという。風流だと思いませんか〜と人に今すぐ、つぶやきたいという気持ちを抑えて、宿へ。

「日本らしさ」を継承しつつ、

「もう一つの日本」をスタッフ全員で育み、創っていきたいです。

インタビューに答えてくれたのは総支配人。まずは、星のや 京都のコンセプト「もう一つの日本」という点について聞いてみた。
「それはただ単に『日本らしさ』を追求するとか、伝統を継承するというのではなく、伝統を大切にしながら、時代に合わせた近代化を図っていく、そのプロセスで見えてくるのが『もう一つの日本』だと考えています。」

自然の恵みと和の建築様式がほどよく調和した各邸宅の玄関先の佇まい。 古典的に見えて、新素材も使われていた。

■「伝統と近代化の融合」という意味を補足すると、
●伝統技術:しつらいでは京唐紙、格子、土塗壁、日本瓦、こだわりの銘木という京建築の伝統芸術を継承。
●現代の息吹:東京のモダンな金属職人と京の庭師技術のコラボレーション(合作)した庭や古典的に見えてあまり使われていない素材でデザインした玄関先の敷石などに採用。

■建築時の苦労
嵐峡(らんきょう)エリアは美観地区に指定されているので、山あいの景観を損なうことなく、以前あった旅 館の建物のリノベーション(既存の建物を基本に改修する)する必要があったという。このエリアは資材を運ぶのが大変だそうで、資材を小さく分けて山道を軽 自動車で運び、大きな浄化槽は何とヘリコプターで搬入したそうです!

話はインタビューに戻りますが、「伝統と近代化の融合」という視点では、ソフト面の熟成に時間を要するらしい。
「伝統と近代化の融合という視点ではソフト面と言いましょうか?サービス、おもてなしという側面はまだ“道半ば”です。見ていただいた通り、私たちのス タッフは非常に若いです。旅館業の経験が全くない人も何割かいます。そうした若い人たちが京都の伝統、宿で過ごし、くつろぐという日本の伝統的な清遊を提 供する側にたって、新鮮な視点と心をもって学び・体験し、いかに成長していくかが最大のテーマとなっています。」

■サービス面での目標を要約すると、
●具体的に従業員はどうあるべきと思いますか。
「今すぐにできなければいけないのは、日本の所作、礼儀作法。襖の開け方、お客様への挨拶の所作、座り方、お辞儀の仕方などです。」

大堰川(嵐山の渡月橋をはさんで上流が大堰(おおい)川で、下流から桂川)の見える客室。25室が完全な離れとして点在している。まさに「水辺の私邸」だ。
敷地内には山道も。自然を愛でるという気持ちになれますよ。

●それでは究極の目標とは?
「お客様一人ひとりとの距離感が理解できるスタッフになること。お茶の出し方もその日の気温を配慮した温度にしたり、お客様が外から帰ってきて寒そうな感 じを察したら、熱めのお茶にするなどの配慮です。最初は口数の少ないお客様には、こちらから投げ掛けた言葉で反応されたテーマで会話を楽しめるように心掛 けるといったようなことです。」

■インタビューを終えて
究極のゴールに到達する前に、お客様に『成長を待ってください』とは言えない。今、ある星のや 京都のベストな、おもてなしを提供する。その基本を守りながら、京・嵐山に息づく『日本らしさ』を継承しつつ、新たな伝統をスタッフと共に育み、『もう一 つの日本』を創っていくという確固たる総支配人の信念を伺い知ることができたインタビューでした。

星のや京都の取材全般で感じたのは若い力。船着き場の待合室宿へと案内してくれた若い男性スタッフ。庭や施設を掃除していた若い女性スタッフ。部屋 や受付などでもてなすスタッフは当然のことながら、庭掃除をしている若い女性スタッフが、私たちが横を通ると、掃く行為を一瞬止めて、すごく自然な笑顔で 挨拶をしてくれたのが特に印象的だった。船での送り迎えのスタッフも多くの言葉は挟まないが、時おり、嵐峡の見どころや宿の様子・成り立ちなどを説明して くれた。こちらが何を知りたいか、何を話したいかをさり気なく探りを入れているのだろう。それではと、こ「昔の人はどうやって宿の資材を運んだのでしょう ね(インタビューで聞いたネタを少し、意地悪に知っているかな?と)」と尋ねると、「その昔は舟と山陰本線(今はトロッコ列車)で資材を運び、橋から敷地 内に入れていたと聞きます。大変だったでしょうね」と何気なく答える。お客様との会話もあらゆる角度から、シミュレーションしているに違いないと思った。

「今時の若い人は〜」という言葉をいつの世もよく聞くが、そう言えば、エジプトの古代文明の遺跡の中にも象形文字で「今の若い者は・・・」という意 味が書かれているらしい。それはともかく、自分たちも言われたはずの上司たちが「今の若いものは」と教育・指導を怠っているような気がしてならない。「今 の若い人は全般的にこういうところがある、じゃこうしようじゃないの」という発想は忘れてはならない、そう感じた一日でした。いつの世も若い人と上の人と のギャップがあって当たり前、それを温かく見守って、道筋だけはしっかりつけてあげる。そして誤った道に行きそうになれば、叱る・・・そういうことを徹底 している「星のや」は今後も成長していく企業の一つだなと思いました。

星のグループは今後も「星のや 竹富」(2012年夏前開業予定)、「星のや 富士」(2013年開業予定)を計画しているとか、どのような日本の姿を見せるのか、今から楽しみです。

 

■ブログ執筆者 近江 業務案内

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