佐野研二郎さんの一連のロゴ盗作疑惑の連鎖で、とうとうエンブレム(ロゴという人もいる)の取り下げという後味の悪い結果となりましたね。
この件については、銀河系宇宙の星の数くらいに、情報が行き交っているので、本稿ではあまり言及しませんが、一連のニュースで一番驚いたのは「オリンピック・スローガン」がまだ決まっていなかったんですね?!私はてっきり「コンパクト五輪」だと思っていました!
■何故、エンブレム開発にスローガンが必要か?
何故なら、エンブレムやスローガンは、企業なり組織団体なり、今回ならば東京オリンピックの理念、過去・現在・未来へと受け継がれていく事業ヴィジョンなど、すべてのコンセプトが凝縮されなければならないわけです。
従って、スローガンが決まっていないのに、今回のエンブレムはどのようにして創ったのでしょうか?スローガンもなしに創れ!とは、佐野研二郎さんをはじめ、コンペ参加者は誠に苦労したでしょうね。
■ところで、その「スローガン」とは何か?Wikipediaより
スローガン(英: slogan)とは、企業や団体の理念や、運動の目的を、簡潔に言い表した覚えやすい句・標語・モットーのこと。理念や目的には、政治的なもの、宗教的なもの、商業的なものが含まれ、政治家が自らの政策をアピールするときに用いる簡明な文もスローガンと呼ばれることが多い。商業上のスローガン(Advertising slogan)は普通、日本では「キャッチコピー」と呼ばれる。
■有名なのは、
●改革無くして成長なし/ 小泉内閣のスローガン
●欲しがりません勝つまでは/大東亜戦争、太平洋戦争中
●企業では、資生堂(ロゴだけですが)とロッテのお口の恋人がいいですね〜。
など、国・政治家、企業・組織団体、学校やクラブ活動、趣味の団体でもスローガンは必要不可欠なものとなっていますね。
■オリンピックでは、
1936 Berlin
民族の祭典 美の祭典・・・いろいろ調べたが不明。ナチのオリンピックを活用したプロパガンダ映画「原題:OLYMPIA」2部作のテーマが、それぞれ、民族の祭典 美の祭典となっている。
監督はレニ・リーフェンシュタール。
1992 Barcelona
“Friends Forever”ずっと友人で
2004 Athens
“Welcome Home”ようこそわが家へ
2008 Beijing
“One World、One Dream”一つの世界、一つの夢
2012 London
“Inspire a Generation”次世代へ息吹を
■オリンピックの歴代エンブレムと思われるポスターを調べると、
やっぱり、1964の東京オリンピックが最高!でも来年のRIOもいい!
■後、オリンピックとスローガンの関係を調べると
別にスローガン自体は、エンブレムに入っている場合が少ないですが、スローガンの意味合いは、エンブレムに入っているのでしょうね?
1964「世界は一つ東京オリンピック」
何となしに、日本で一つになるという感じがします!
2012 ロンドンオリンピック「Inspire a Generation 次世代へ息吹を」
・・・よくわかりませんね!
2016 リオ(ブラジル)オリンピック
「Live your passion 情熱と共に」
Passion! + Collaboration(協調)・Harmoneyを感じます。
というわけで、たいていの場合は、スローガンとエンブレムとの関係は表裏一体。
翻って、2020東京オリンピックのスローガンは未だ未定で、どのようなコンセプトでエンブレムが創られたのでしょうね?
佐野研二郎さんの企画書やプレゼン内容がすべて公開されていれば、エンブレムのデザインに納得する人も多かったかもしれません。
場合によっては、エンブレムやスローガンはオリンピックの直前に決まるという場合も過去にあったみたいですが、エンブレムとスローガンは同時に開発すべきではないでしょうか?
いずれにしても、今回のオリンピックはお粗末な組織委会とプロジェクト運営が度重なっているような気がします。ここで思い切って、組織委会も解散!
ゼロベースより、東京オリンピックの理念、過去・現在・未来へと受け継がれていく事業ヴィジョンなど、すべてのコンセプトを再確認!それに基づいて、競技場計画から、大会運営、エンブレムやスローガンを含む広報計画まで再度、練り直しをすべきでしょう!
■例えば、私がてっきりスローガンと思っていた「コンパクト・オリンピック」
●過去に類を見ない低予算で開催できるオリンピック
●最先端の省エネルギーと再生エネルギーを活用したエネルギー消費もコンパクトなオリンピック
●人種、障害の有無を超えてコンパクトに人と人の輪が生まれるオリンピック
など、“コンパクト”という概念から生まれる次代に受け継がれるスポーツの祭典の理念のスタートアップのオリンピックだった!・・・長く記憶に残る理念を再構築すべきと思われます。
その理念が次世代型の競技場として設計され、スローガンになり、エンブレムになっていく!
そんなオリンピックであって欲しいと強く思います。
■執筆者 ビジネスラボ 近江 隆