出所:NHK調査 原発再開賛否割れる 8月9日 7時17分
1.定期検査や地震のために停止している原発の運転再開への賛否を尋ねたところ、
●「賛成」が24%、「反対」が23%で、「どちらともいえない」と答えた人が46%に上りました。

2.菅総理大臣が「原発に依存しない社会を目指す」と表明したことへの評価を聞いたところ、
●「大いに評価する」が16%、「ある程度評価する」が41%、「あまり評価しない」が23%、「まったく評価しない」が12%で、「評価する」と答えた人が半数を超えました。

まず、1の「定期検査や地震のために停止している原発の運転再開への賛否」ですが、
福島第一原発の事故、電力会社や国の安全体制への姿勢を見るにつれ、「反対」するという気持ちもわかりますが、今の国のやり方では来年には原発がオールア ウトになり、日本の産業界や市民生活は破綻する可能性があることを踏まえて、回答している人が何人いるのだろうか?・・・と思ってしまいます。

原発がオールアウトになった場合の危機については、以前私のブログでも引用しましたが、次の記事を読めば、日本全体が窮地に陥ることは明らかです。
「原発オールアウト」の危機をどう乗り切るのか(nikkei BPne 2011年6月6日)
(引用始まり)
関西電力の八木誠社長は5月26日、定期検査のために運転を停止した原子炉の再稼働が遅れるケースが増えれば、電力需要が急増する夏場にかけて、関西地域 で「節電をお願いせざるを得ない場合も考えられる」と述べた。東京電力管内では夏場に15%の節電を行わなければならないが、こうした電力不足の「東電 化」が他の電力会社にも波及しそうで、もしそうなればシビアな事態が当然起こりえる。

すでに5基の原子炉が再稼動できず
日本の原子力発電所は13カ月に一度、定期検査のために原子炉を停止させる必要がある。ところが福島第一原子力発電所の事故以来、定期点検が済んでも周辺住民の反対にあって再稼働ができない事態が各地で発生している。
(引用終わり)

私が思うには「世論調査に答える人たちが、こうした客観的事実をどれほど理解して回答しているか?」です。世論調査は「無作為にコンピュータで選ん でしかも、電話で回答する」と言うスタイル。答える人たちの全員が報道されている原発の記事を読んだことを前提にして、質問しているのでしょうか?質問す る前に簡単に質問の背景を説明しているとは思いますが・・・。

多くの人は「原発の客観的事実を知らず、また知っていてもキチンと把握したり、分析していない」と私は個人的に思います・・・そ う、ムードで答えているのです。そうです、ムードで答えれば、原発オールアウトでもOKのような気持ちに押されて答えます。さらに、原発の運転再開に「反 対」が23%の人の中には、もっと細かい意見があるはずです。
●ストレス検査をキチンとやり、国と電力会社の安全体制が整備されれば、原発の運転再開に「賛成」と変えても良い
●原発の運転再開に「賛成」の人でも、国と電力会社の安全体制が整備がされないならば、「反対」という人がいると思います

世論調査はこうした細かい意見を拾い切れていないような気がします。そして、原発がオールアウトになった場合の本当に危機をわかっていない人たちで、ムードで答えている人が何パーセントいるかが数字に出てきていないことにも問題があります。

原発がオールアウトになったら、「原始時代のような生活を送ればよい」という人も多いと思いますが、工場が止まり、主要企業の海外 移転が加速し、果ては失業者が町に溢れる・・・という最悪のシナリオが現実のものとなった時・・・「国やマスコミが原発オールアウトの危険性をキチンと説 明しなかったからだ!」と騒ぎ出すに違いありません。マスコミはこういう時に、「手のひら返し友の会、会長」のように、「そうだ、国はキチンと説明してい ない!」と、自分が言ったことを忘れて、有利なほうに回って報道するでしょう。

次に
2.菅総理大臣が「原発に依存しない社会を目指す」と表明したことへの評価を聞いたところ、
●「大いに評価する」が16%、「ある程度評価する」が41%、「あまり評価しない」が23%、「まったく評価しない」が12%で、「評価する」と答えた人が半数を超えました。

という結果についてですが、この方は延命政策の切り札として、「原発に依存しない社会を目指す」と言っているだけで、管首相の見解は永田町もアメリ カを含めた世界の首脳には全く無視されているようです。それをマスコミだけが注目して取り上げてくれているという、管首相にとっては有り難いお話しでしょ う。

管首相は本当に原発の将来について、キチンと理解してこうした方針を発表しているかどうかは、わかりませんが。政治は本当に信用できません。『脱原 発』と言っている政治家も本当にそう思っているのかが疑問です。そう言った方が有利、次の選挙に今の自分の支持率が・・・というのが本音ではないでしょう か?彼らは本当に魑魅魍魎、妖怪ですね。


私自身は個人的には脱原発は早急に無理だと思います。原発の安全体制を高めつつ、代替エネルギーの比率を高めるという流れに賛成しています。それが正しい かどうかはわかりませんが、世論調査という稚拙な方法の結果をベースに、国の政策を決定することの怖さを言っているだけです。もっともっと事実・データを 明らかにして、議論すべきなのではないでしょうか?

かつて、西ドイツのコール前首相が、「国民の声、世論だけで国の政策を進めると、国は滅びる」と言ったそうですが、まさにその通りだと思います。で すが、どんな英雄的なリーダーの考えでも常に合っているとは限りません。国と国民との活発な議論の場、チャネルがもっともっと設定されるべきなのでしょう ね。どうも国会でやっていることは、私たちの代表としての責任感に欠けているような気がします。国会にも「政財界のリーダー、市民・NPOの代表が出席で き、質問・議論できる公開討論会の月間」などを設けて欲しいものです。

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