昨日、古民家をモチーフにした旅館の取材に行って来ました。まだ公開できませんので、旅館名などは伏せて感銘したことだけを書き記します。
その取材で料理長の話を伺うことができたのですが、その中で「即興」という言葉が私の心に響きました。中部地方の山あいにある宿の料理長のインタビュー。「川魚や地産地消の野菜、地元の牛肉の素材を生かしながら、レシピを考えていきますが、海の幸は一切使いません。山と川の地元の食材だけを使います」という説明を受けながら、秋の会席料理を披露していただきました。
山菜や川魚は色合いが地味なので、山の草花で彩りを加えた創作料理のヴィジュアルに感銘を受けながら、今回の取材の目的は「冬の宿特集」ということで、冬の料理メニューを尋ねたところ。
「冬?それは冬になってみないとわかりません。その年によって温度が違いますし、実りも違います。自然界の未来を人間が勝手に予測して、冬のプランを発表するというのは恐れ多いです」という答えが返ってきました。
なるほど、都会のレストランで冬のメニューを印刷物やPOPにして予告しているのは冷凍食品を使ったり、自然の法則に逆らった栽培法で作られた食材をベースに考案しているのだなと再認識。
「季節ばかりではなく、その日、あの朝の気候、届いた野菜の色合い・風合いなどを見て即興で考えたメニューを加えていくことがあります」という言葉に、思わず都会に暮らす私たちがそうした「即興性」という閃きが少なくなっていることに気づきました。
聞くところによれば、連泊されるお客様も多いとか。その時には計画していたメニューで毎日もてなすことは当然できません。1週間も宿泊する方もいるとか、その時は日々、その「即興」の力の見せ所だと言います。
詳しくは、また公開可能になった頃に書きますね。2ヶ月後くらいです。
生産計画に販売計画、企業活動では避けて通れないことですが、自然の中で身体をはって仕事をされている農業や牧場の方、そして今回、取材した田舎の宿の料理長は日々、予期せぬ自然界のイベントに畏敬を払いながら仕事をしているのだなと感銘を受けました。
一方、私たちも世界経済、政治動向、自然・気象変動にも大きく左右される仕事なのですが、何故か平穏時はそれを忘れてしまいがち。
そして為替変動や政治動向の変化が起きるたびにオドオド!慌てふためき、悲劇的な呈を見せてしまう。世の中、うまく行くのが当たり前、計画通りに行かないと世の中のせいにしたり、自分たち、自分の不運を嘆いたり。
世の中、自然界で起きる事象には自分たちがどうすることもできないことが度々起きます。それに対して愕然とするだけではなく、事実を受け止め、「即興」や「動物的な勘」で対応できる能力を磨かないといけないな〜と思った一日でした。
そうした「即興性」や「動物的な勘」を磨くためには、毎日判を押したように同じ電車、同じ道で行き帰りをするのではなく、回り道をしたり、路地に入った り、「今日は雨だな、二駅前に降りて雨の都会をじっくり歩いてみようかな」など、日々の定番を少し破壊して行動するのも一考だとおもいませんか?
もちろん、たまには一人で「ちょっといい旅」に出掛けてみるのもGOODです。日々と違う風景、人々の暮らしぶりなどに出会って「自分とは違う環 境、仕事での生活の知恵」などをつぶさに観察して、「自分ならこういうところで暮らしたらどう暮らすかな?」「ここで交通が遮断されたら、どのように生き ていくかな」などと、空想してみるのも「即興性」や「対応力」を磨く機会になるのではないでしょうか?ならないな(笑)という声も聞こえてきます が・・・。
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