重要伝統的建造物群保存地区に選定されている千葉県香取市佐原地区をブラッと散策してきました。

忠敬橋を中心として、小野川沿い約700メートル、香取街道(千葉県道55号佐原山田線)沿い約1000メートルの範囲に歴史的建造物が軒を並べて佇む風景はまさしく江戸時代の風景。目的は、古民家の改装して、町をまるごと再生しようという動きを見聞するためです。

目的

小江戸めぐりで有名な「重要伝統的建造物群保存地区」の散策とに同地区にオープンした佐原商家町ホテル NIPPONIAの見学
●所在地:千葉県香取市佐原イ周辺

運営会社

株式会社NIPPONIA SAWARA

  • タイムスケジュール

10:00

1.佐原商家町ホテル NIPPONIAの概要ヒアリング

2.佐原商家町ホテル NIPPONIA 施設見学
①GEISHO棟 ②YATA棟 ③AOI棟

3.ホステル「HOSTEL Co-EDO」見学

12:00

昼食
佐原商家町ホテル NIPPONIA GEISHO棟

13:00

「重要伝統的建造物群保存地区」散策

14:00-15:30

町並みガイドに同行のツアーに参加
「重要伝統的建造物群保存地区」の詳細を見聞

小野川沿いにある県指定文化財で、江戸時代末期に建築された中村屋商店がフロント・レストラン棟「GEISHO」となる。

建物は経年劣化や東日本大震災による地盤沈下で6センチ傾いたが、地盤強化剤を注入し、創建時の外観を復元した。

家主は、安政2年(1855)建築の古民家で和雑貨を経営する中村商店。現在は5代目店主の並木潤一郎氏(71)で、昭和期には畳の備品を供給していたが、現在は和雑貨の店舗を佐原商家町ホテル NIPPONIA「 GEISHO棟」に隣接する蔵で雑貨店を営んでいる。

フロントのGEISHO棟から徒歩2分の距離にある元製綿業を営んでいた商家明治期に建てられた母屋、当時の最先端の技術を活かして造られた土蔵、そして裏庭に面した倉庫の3棟から成る客室棟。

 

元は柳半別邸と呼ばれ、昭和初期の建物である料亭をリノベーション。夏と秋の大祭では目の前を山車が通る特等席となる。

 

「地域住人と旅行者が集う場所」をコンセプトに作られた施設で、4つのドミトリーと4つの個室からなる。エコノミー志向の旅行者に特化したゲストハウス。

Point of View
町全体を「ひとつのホテル」として見立てているコンセプト。

600年の歴史を誇る佐原の町をゆるやかにひとつのホテルと見立て、築100年超の商家を含む3つの棟が町に点在する宿泊施設。

●時を重ねた歴史ある客室での滞在
●関東一の食の産地千葉の味覚を愉しむ本格フレンチ
●近隣の銘店や店舗と連携した街歩き
など、佐原の歴史に溶け込むように泊まる新しいスタイルの宿泊体験を創出している点が素晴らしい。実際に歩いてみて、江戸時代にタイムスリップしたかのように感覚に包まれて、身も心も癒やされました。

中でも印象的なのは「佐原商家町ホテル NIPPONIA /  GEISHO棟フロント&レストラン」でした。


また、官民一体のまちづくりも特筆もの。官民が一体となった町並み保存事業は最上級レベル! これほどの江戸の町並みが残り、美しい空間は一朝一夕でできあがったものでなかったことが伺えます。その歴史を次の通りです。

  • 1974年  伝統的建造物群保存調査
  • 1975年  上の調査報告書「佐原の町並み―佐原市伝統的建造物群保存地区調査報告―」作成
  • 1982年  財団法人観光資源保護財団による調査
  • 1983年  前年の調査報告書「佐原の町並み よみがえれ、水郷の商都」作成
  • 1989年  三菱館、佐原市に寄贈
  • 1991年  「佐原の町並みを考える会」発足
  • 1992年  樋橋架け替え(コンクリート製から現在の木造に)
  • 1993年  「佐原市佐原地区町並み形成基本計画」作成(考える会)
  • 1994年  「佐原市歴史的景観条例」制定(佐原市) 1994年  樋橋の落水を復活させる
  • 1995年  「まちづくり推進室」設置(佐原市) 1996年 「佐原市佐原景観形成地区」決定(佐原市)
  • 1996年  「重要伝統的建造物群保存地区」として選定される
  • 1996年  樋橋の落水が「残したい日本の音風景100選」に選ばれる
  • 1998年  伊能忠敬記念館新装
  • 2005年  佐原町並み交流館開館
  • 2005年  「佐原まちぐるみ博物館」開始 2009年  「平成百景」に佐原が選ばれる
  • 2010年  伊能忠敬関係資料2345点が、歴史資料として国宝に指定

現在のまちなみの復元事業が本格的に始まったのは1991(平成3年)で、「佐原の町並みを考える会」を発足。まずは小野川沿いのかつて米問屋や醸造業を営んでいた店を往時のままに段階的にリノベーション。道沿いには柳の木が植え、川から荷物を揚げるのに用いられた「だし」と呼ばれる階段を復元しています。

無理に江戸の風景に再現するのではなく、江戸時代の土蔵は江戸時代の復元、明治、大正、昭和の建物は当時のままにという感じで、幅広い年代の建造物がそのままに活かしながら、リノベーションするというのがコンセプトだったそうです。

そして最大の特徴は町が生きていること。日本の多くで空き店舗が目立つ商店街が多いが、多くの商店やカフェ・レストラン、お土産屋が軒を並べていることです。その結果、テーマパークと決定的に異なる、人々が暮らしている空気感、界隈を醸し出すことに成功しています。時代を経て培われた生活風景を紡いでいることに、佐原の人々の伝統へのリスペクトと未来へ繫いでいこうという心意気を感じました。

樋橋(じゃあじゃあ橋)。伊能忠敬旧宅前にある小野川にかかる橋。もとは江戸時代の前期につくられた佐原村用水を小野川の東岸から対岸の水田に送るための大樋。橋の下側につけられた大樋を流れる水が、小野川にあふれ落ちて「ジャージャー」と音を立てるので、「じゃあじゃあ橋」の通称で親しまれきた。戦後はコンクリート橋だったが、木造橋に改築し、30分ごとに落水させている。この樋橋の落水は「残したい日本の音風景100選」に選ばれている。

建築物の改築や修繕については、「香取市佐原地区歴史的景観条例」に則っている。建物の改築にあたっては、街路沿いの景観を守るために、高さは3階以下、構造は伝統的建築様式を基本としており、建物の修繕を行うにあたっては、助成率に応じた助成金が支給される。そうした官の支援施策によって、多くの家屋が改修を実施している。

ただし、近年では建物の維持管理や後継者問題などで、廃業して住宅地や廃屋となった店舗も見られるなどの課題が多く見られた。

今回の「佐原商家町ホテル NIPPONIA」は、このような課題の解決を図るための官民一体となったプロジェクトということだ。これが起爆剤となり、さらなる賑わいの再生を予感させる取り組みだと感じた。

最後に、「佐原町並み交流館」が提供する地元の有志によるボランティアガイドツアーに参加したので、その様子を紹介します。

視察後記

たった1日の視察で多くのことが学べた。主に感じたのは次の5ポイント。

1.まちづくりは一日にして成らず!

2.官民、産学官が一体となったチームワークが必要である

3.資金的なバックグラウンドが必須である

4.ハード部分/建築・区画整理などの知識修得と建築会社や都市開発会社とのコラボの必要性。

5.ソフト部分/歩いて楽しい、食べて美味しい、買って心ホノボノ、「滞在して良かった、また来よう!」という空間の醸成。市民のおもてなしとIotなど先端技術の活用による利便性の向上と効率化の推進の必要性。

そして、忘れてはならないのは、地域活性化の最大の成功要因は「おもてなし」とい点。そうした意味で、同地のどの店舗も笑顔と自然なおもてなしで出迎えてくれた。おもてなしの大切さは、「佐原町並み交流館」が提供する地元の有志によるボランティアガイドツアーに参加して再認識しました。

今後の課題は、課題は、夕方6時には殆どの店が閉まり寂しくなること。今後は、ナイトライフの充実か?しかしながら、それも必要ないかもしれない。そう、夜は読書をしたりして、朝早く起きてまちなみを散策するほうが日常を忘れる貴重な時間になるのではないでしょうか。

参考:投資スキームは次の通り。

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