Appleの驚異の「選択と集中」〜Steve Jobs氏はやっぱり変人で天才だ!本記事は2011年12月時点の記事です。
AppleとSteve Jobs氏の偉業は多くの文献や識者が語っているので、超無名な私が言及するのもおこがましいですが、Macを20年以上、愛用している自身の視点で、その凄さを書き記したいと思います。

まず、Apple社と日本の代表的な総合家電メーカーの業績比較です。Apple社の業績が2009年、円換算が80円という、少々、無茶苦茶、強引な数字比較ですが、ご寛容を!

売上高こそ、日本の家電メーカーが上回っていますが、営業利益の差に愕然とする方も多いでしょう!

Appleの営業利益率は何と!50.30%!・・・日本の代表的な某家電メーカーは2.06%です。
従業員1人当たりの営業利益はAppleが3,157万円、日本の家電メーカーは 48万円 。

もちろん、日本の総合家電メーカーとIT系のApple社を単純比較することはできません。それに日本の家電メーカーは家電ばかりではなく、太陽電池などの発電分野や工業分野で大きな社会貢献をしていますので、Apple社より世の中に必要不可欠といえるかもしれません。

しかし、それを差し引いても、家電メーカーは「やってられないわ」、Apple社は「笑いが止まらないわ!」というのが事実ではないでしょうか?そうした業績の違いが出る背景を私なりに整理してみました。


★AppleとSteve Jobs氏の驚異

恐るべき「選択と集中」〜商品レンジがたったの「3」?
これは単純な驚きですが、Appleの売れ筋の商品レンジって、iPhone、iPad、Macのたったの「3つ」?。正確に言えば、iPod、OS、ituneなど、もう少しあるのですが、iPhoneやiPadが出る前、さらにiPodの発売前は正直言ってMacだけ?ただし、Macだけの時は瀕死の状態で1996年には倒産寸前でしたが・・・。

一方、日本の家電メーカーはどうでしょうか?Appleと家電メーカーとは商売の質が違うので単純に比較できませんが、パナソニックやシャープをはじめ、その商品レンジは星の数ほどある?!例えば、日本の家電メーカーのサイトを見てみると、商品分野が「8」=「デジタル・AVC」「 パソコン・周辺機器」「カーナビ」「 携帯電話」「 生活家電」「美容・健康」「住宅設備・建材」・・・・商品数となれば、とても数えていられないので、ギブアップ!・・・何千?何万?あるのでしょうか?

つまり、日本の家電メーカーは「小ロット多品種」
Appleは「大ロット少品種」〜「1点集中主義」の徹しているわけです。


Steve Jobs氏いわく「我々はゴミをつくらない」
ある調査によれば、1製品あたりの研究開発費では日本の家電メーカーが1150万ドル(約10億円)だが、Appleが$7850万ドル(71億円)と書かれています。つまり、製品開発には惜しみなく投資するが、1点集中主義で効率よく世界へ販売していく。

一方、日本の家電メーカーは早くからグローバル化に取り組んでいますが、最近はサムスンやLGエレクトロニクスにやられ放し、未だ主役の場は日本。そのため、グローバル製品ではなく、日本にだけ受ける多機能製品を投入して、消耗戦を繰り返しているわけです・・・日本以外の国では日本製の高品質・多機能製品は旗色が悪いのが現状なのです。

Apple「売れる商品だけを世界へ!」
日本の家電メーカーは「狭い市場で消耗戦を繰り広げる」というのが現状です。


教科書通り、やらないのがSteve Jobsスタイル!
何年か前までハーバードビジネスレビューとかに、これからの時代は「小ロット多品種」、「スケール・オブ・エコノミー(大量生産の時代)からスコープ・オブ・エコノミー(範囲の経済=小ロット多品種)の時代へ」と大騒ぎしていました。また、「ロングテール戦略」とか言って、蛇の尾のようにレアな商品も品揃えするのが、これからのマーケティングの主流といっていました。

これらはアマゾンのようなネット販売には最適な戦略ですが、百貨店が無意味な品揃えでカテゴリーキラー(特定の分野に集中する小売業)にやられたように、トレンドに流されることが正解でないことを示しています。

Steve Jobs氏はマーケティングの本なんて読んでいない?
世の中の流れなど無視して、全く自分の視点で世の中のライフスタイルを分析し、
天才的な閃きでiPodやiPhoneを開発したわけです。



私の視点は以上ですが、Steve Jobsは教科書通りに生きない、というかMBAとかの本などを読んでいないのでは?と思うくらいの変人ではないでしょうか?日本でもノウハウ本ばかり読んでいる人に成功している人がいないように、また松下政経塾を出たエリート政治家が全く世の中の役に立たない政策を謳っているように、過去の成功事例ばかり学んでいては、前に進めないことをSteve Jobs氏は教えてくれています。

Steve Jobs氏は常に未来を視ていた!

死の直前にもAppleテレビの開発ヴィジョンを完了していたというから、
その凄さにはただひれ伏すばかりです。

 

Steve Jobs氏のチャレンジはもし失敗していたら、ただの阿呆で非難囂々だったかもしれません。しかし、彼の偉業は経営手腕でも何世紀にわたって語り継がれるであろう実績を残しています。最後に、以前のブログでも書きましたが、株価の動きで偉大なるSteve Jobs氏とAppleの歴史を振り返ってみたいと思います。

★Appleの株価推移

●2011/10/5 の株価と1980年の株式公開時点の株価を比較すると、何と! 「10,521% 」、「105倍」!

●倒産危機の1995年と比較すると、 「20,663%」 、「206倍」!

●2001年iPod登場時との比較でも 「4,807%」、「48倍」!

基準日 比較対象 増減率 倍数
2011/10/5 株式公開日 10521.4% 105.2倍
倒産危機の1995年 20663.4% 206.6倍
2001年iPod登場時 4807.9% 48.1倍
2007年iPhone登場時 285.8% 2.9倍
2010年iPhone4登場時 151.3% 1.5倍
2011/9/20最高値 株式公開日 11765.7% 117.7倍
倒産危機の1995年 23107.1% 231.1倍
2001年iPod登場時 5376.5% 53.8倍
2007年iPhone登場時 319.6% 3.2倍
2010年iPhone4登場時 169.2% 1.7倍

まさに“American Dream!!!”と呼ぶにふさわしい!神の仕業としか思えない夢物語です。これほどのサクセスストーリーは今後、しばらくは登場しそうにもありませんね。

Steve Jobs氏とAppleの歴史と株価の関係をまとめましたので、是非ご覧ください!
PDFでご覧になりたい方は、こちらをクリック!「AppleとJobs氏の歴史と株価推移」

西暦 主な出来事 株価 株価日付 増減率
1976年 スティーブ・ジョブス、スティーブ・ウォズニアック、ロン・ウォンが「Apple Computer Co.」設立。
「Apple I」発売。
1980年 株式公開(発行株数460万株)。750万株を持っていたジョブズは2億ドルを超える資産を手に入れ、フォーチュン誌で長者番付に名を連ねた。 3.59 1980/12/12
1983年 ペプシコーラーの社長ジョン・スカリー氏がアップルの社長に就任。Steve Jobs氏が「一生、このまま砂糖を売る気なのか」と説得。 7.67 1983/1/3 213.4%
「Lisa」発売。
1984年 スーパーボウルで歴史に残るMacのCM「1984」をリリース。
監督は映画「ブレードランナー」のリドニースコット。
3.72 1984/1/3 48.5%
「Mac」を発表。
1985年 ジョブス氏 取締役会から追放される。ジョンスカリー氏を招いたことが裏目に出た。 1.83 1985/8/16 49.2%
ジョブス氏「Next Software」を創業。
スティーブ・ウォズニアック氏も退社。
1986年 ジョブス氏、LucasfilmのCG部門を1000万ドルで買収し、Pixarを設立。 4.50 1986/6/20 245.9%
SE、MacII、PLUSを発売
1987年 Macの販売好調で株価急伸。 14.63 1987/10/2 325.1%
1990年 Xerox と Apple Computer のGUIに関する法廷闘争、Apple の勝訴。 10.63 1990/12/7 72.7%
1991年 Apple と IBM が Power PC チップで Mac OS を利用することで合意、技術提携契約を結ぶ 17.00 1991/3/29 159.9%
PowerBook、Quadra発売
1992年 社長交代,マイケル・スピンドラーへ 11.19 1992/8/14 65.8%
1994年 IBM、Motorolaとのコラボ「PowerPc」搭載Macが登場 6.40 1994/6/24 57.2%
1995年 米国でパソコン出荷台数第一位に輝く 11.61 1995/6/30 181.3%
1996年 スピンドラー解雇。第4四半期の利益が2500万ドルに減少し、倒産危機も囁かれる 4.52 1996/6/12 38.9%
社長:ギルバート・アメリオ時代
Apple Computer.Inc、NeXT software.Incを買収
創設者スティーブ・ジョブス、スティーブ・ウォズニアック、アメリオの相談役として復帰
1997年 CEO ギルバートアメリオ辞任 3.53 1997/12/12 127.9%
ジョブス氏「Macworld Expo in Boston」で Microsoftとの提携を発表
Microsoft,Appleに対して1億5000万ドルの投資
スティーブ・ジョブス、暫定CEOに就任
1998年 「iMac」登場 8.02 1998/6/10 227.0%
1999年 「iBook」・「MacOS 9」(Sonata)発表 18.64 1999/10/15 232.5%
2000年 「Mac OS X」発表 28.84 2000/7/14 154.7%
MACWORLD Expo/SF2000にてスティーブジョブス正式にCEOに就任
2001年 iPod登場!
PowerBook G4、Power Mac G4発売
7.87 2001/9/21 27.3%
2002年 iMac(Flat Panel)を発売 7.71 2002/12/25 98.0%
2003年 iTunes Music Storeをオープン 11.3 2003/11/30 146.6%
2004年 Jobs、癌の摘出手術を受ける 33.28 2004/11/26 294.5%
2005年 Intelチップ採用を発表 54.47 2005/10/28 163.7%
iTunesからのダウンロード、5億曲突破
2006年 DisneyがPixarを買収、Jobsを取締役に 91.63 2006/11/24 168.2%
2007年 「iPhone」発売。タッチスクリーン式スマートフォンの時代が幕開け。 132.3 2007/6/6 144.4%
iPhone発売後、株価が急伸! 187.87 2007/11/2 142.0%
2008年 9月 リーマンショックで世界同時株安。 82.58 2008/11/21 62.4%
2009年 1月、ジョブス氏が病気療養に入る。肝臓移植を行った後、6月に復帰。 85.30 2009/3/6 103.3%
iPhone、Macの販売好調で株価をわずか半年で株価が倍増! 194.67 2009/12/11 228.2%
2010年 ジョブス氏、タブレット型情報端末「iPad」を発表。4月の発売後から大ヒットに。5月、アップルの時価総額、マイクロソフトを抜き、米IT業界でトップに。 270.83 2011/4/23 139.1%
iPhone4を6月に発売。 249.90 2010/6/16 92.3%
iPhone4とipad人気で株価急伸! 308.03 2010/11/12 123.3%
2011年 ジョブス病気療養発表前の株価。 348.48 2011/1/14 113.1%
1月17日:ジョブス氏、再び病気療養へ。 326.72 2011/1/21 93.8%
3月2日:「iPad」の最新型モデルの発表会に療養中のジョブス氏が登場! 351.54 2011/3/25 107.6%
6月6日:クラウドコンピューティングを利用した音楽配信サービス「iCloud」を発表。ジョブス氏が登壇し、プレゼンテーション! 320.26 2011/6/17 91.1%
7月19日:アップルの4~6月期決算、売上高285億7100万ドル(約2兆2000億円)、純利益125%増の73億800万ドル(約5600億円)で過去最高を更新。 391.82 2011/7/28 122.3%
8月9日:アップルの時価総額が一時、米石油大手エクソンモービル(ExxonMobil)を上回り米上場企業トップに。 389.99 2011/8/30 99.5%
8月24日:ジョブズ氏、CEO辞任を発表。後任にはティム・クック(Tim Cook)最高執行責任者(COO)が就任。ジョブス氏は会長職に。 422.86 2011/9/20 108.4%
10月4日:「iPhone 4S」発表、アップル株価は少し下落。 372.50 2011/10/4 88.1%
10月5日:アップル、ジョブス氏の死去を発表。 378.14 2011/10/4 101.5%

Steve Jobs氏とAppleの歴史を振り返って自分の歴史と比較すると、もうたまったものではありません。同じ人間かなと思うくらい落ち込んでしまいます。しかし、もし貴方がMacを古くから使っていたり、最近でもiPhone、iPadを利用していたら、Steve Jobsと一緒にアメリカンドリームを築き上げた仲間と言えるのはないでしょうか?少し強引(笑)!

後、「もしAppleの株を保有していたなら、もっと恩恵を受けられたのに!」と思う方が多いでしょう。Appleの本当の躍進は21世紀に入ってから、iPod登場時の2001年に株を買っていても48倍! いやiPhone登場時でも良いでしょう〜約3倍になっています!

日本では株はギャンブルと思われている感がありますが、「自分の支持する会社」「自分が大好きな製品・サービスを輩出している会社」の株を長期に保有する手法であれば、結構手堅い投資だと私は思っています。ただ、いつ買うかよりも「いつ売るか?!」が難しいですが・・・!

いずれにしても、何事も一度好きになったら、一度選んだ道ならば、粘り強く長期的な視野に立って、継続していく大切さをApple、そしてSteve Jobsの人生が教えてくれたような気がします。

生後まもなく親に手放され、自分が創業したAppleから追放され、そして最後は癌とも戦いながら、革新的な製品とサービスで私たちの生活を豊かにしてくれたSteve Jobs氏に感謝すると共に、その人生哲学をほんのミクロン、欠片(かけら)だけでも取り入れたいと思います(笑)!

■ブログ執筆者 近江 業務案内

人気ブログランキングへ

にほんブログ村 経営ブログ 広告・マーケティングへ

Leave A Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください