最近、「フェイス・トゥ・フェイス・ブック」というマーケティング本を読んだが、「うん、なるほどね」と思う内容だったので、簡単に紹介したい。実証実験に使用したのは、ネット上と現実世界の消費者間の口コミを並行して測定する先進的分析ツール「トークトラック」。

その調査結果は、SNS隆盛後も実際には商品の購買決定時に影響を及ぼしているのは、リアル上でのクチコミ。しかもその割合は対ネットのクチコミに対して、9割というから驚いた。

トークトラックの概ねの仕組みは次の通り。

  • 大手オンライン調査パネル会社に依頼して、毎週700人に2ページ分の日記を配信。
  • 配布された翌日、誰に「どのような広告、商品・サービス」などを話したかを日記に記録してもらう。

  • そして、その一例が下記のグラフの結果だ。何と!購入の最終段階では、リアルで認識したクチコミの影響力が絶大ということだ。



だが、実際には物事は単純ではない。リアルをより活かすには、ネットの役割は無視できない。購入の最終段階ではリアルなクチコミがより機能するという意味だ。

  • ネットとリアルで、閲覧者がシェアしたくなる“選ばれる情報”を提供し、クチコミで拡散するシナリオを開発していく重要性はますます高まっているということだ。
  • テレビでの宣伝は相も変わらず、影響力大で、SNSと連動させれば効果はさらに高まる。
  • そうした意味で、リアルとネットの長所を理解した上で、その両方をつないだプロモーションミックス戦略を磨いていく必要がある。
  • ※ただし、「The Face-to-face Book」で紹介されているデータは、2010年から2011年のものが大半で、2017年現在になると、ネットやクチコミ、比較サイトの影響はもっと大きくなっているかもしれないが…。

つまり、次のマトリックスに示したように、リアルの購買ポイントに、消費者をいかに誘導していくかがキーポイントとなる。

■趣味嗜好でつながるグループへのマーケティング
1.SNSへの広告は、趣味グループやファイサイトへの告知は有効

  • ワインや料理、カメラの趣味グループなど、広告戦略を比較的立てやすい。
  • 興味が明確だから、彼らの反応するお得、料理や写真などの悩みを解決する提案をネット広告で行えばいいだけだ。
  • しかし、拡散力は全くなく。知った情報はネットやリアルの同じ趣味のグループに知らせるだけである。
  • 他の消費者との交流を望んでいない。閉鎖的な社会がインタレストグループだ。

2.閉鎖的なグループをリアルに誘導するには?

  • コンテスト型販促:順位を決めて賞を与えることで、家族や同僚、友人に話したくなる(一部例外もあり)。
  • 発表会などのイベントも効果的。
  • ご家族や友人もお誘いください的な誘導。
    ▶カップルで来場、4人で来場したら「ドキドキ○○プレゼント!」など
    ▶ビジネススクールなどでは、著名人の講演やシンポジウムなどでは、「友人優待券」や「友人を誘ったら、会員は参加費無料」などで拡散する。。

■家族・友人・職場でつながるグループへのマーケティング
SNS上のグループが知り合いとシェアしたくなる情報を流す必要がある!

そのためにはリアルとの融合
【例えば】

  • ソーシャルグループの趣味や活動履歴を学び反応しそうなキャンペーンやイベントなどを開発し、リアルな世界へ誘い出す。
  • そして、同じような趣味クラスターに向けてリアル&バーチャルの両方でイベント告知する。
  • そして、イベント当日に会場の感動をシェアしてもらうことで、感動の輪が拡大していく
  • 当日、参加した異なるSNSグループが交わり、当日参加しなかった人たちへも話題が波及していく仕掛けだ。
  • ほかに、企業としてPRするのではなく、社員ひとり一人がイチ個人として投稿する。
  • ネット上のインフルエンサー(影響力のある人に投稿してもらう。アフィリエイト広告/ブログや動画(ユーチューバー)などに広告表示してもらうことで、彼らに表示回数などでギャラを払い同時にSNS拡散という相乗効果を狙う。

以上、「The Face-to-face Book」を読んで、リアルとネットの最適化に知恵を絞らねばと思った次第です。それに、もうネットに飽き始めている層も多くなってきているので、これからはリアルコミュニケーションが復活していきそうだ。

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