本日(2016/8/18)は、久しぶりの休息日。そこで、テアトル梅田で、映画「ラストタンゴ」(アルゼンチン)と「奇跡の教室」(仏)を連チャンで鑑賞。
「ラストタンゴ」は、次回のブログで書くとして、まず「奇跡の教室」の感想から。観る前は、フランス版金八先生かな?と思い込んでいたが、観ているうちにストーリーにぐいぐいと引き込まれた。実にシリアス!現代の報復の連鎖、格差社会という病巣を深層からあぶり出した秀逸な逸品だった。
29の人種、イスラム、ユダヤ、キリストなど多宗教が受講するパリの高校一年のクラス。とんでもない落ちこぼれが集まったクラス。どうしようもない生徒たちが、教師歴21年のベテラン女性教師の導きで、生命の尊厳に目覚めていくという物語で、実話だそうだ。
その道しるべとなったのは、生徒たちに「子どもたちと若者たち・ナチス強制収容所での日々」というテーマで歴史コンクールに参加しようという提案。最初は反発していた生徒たちも、あるきっかけで心に変化が生まれる。それは、アウシュビッツの強制労働を耐え抜き生き残った老人の証言を聞いてから。
私もこの映画ではじめて知ったのですが、ナチスに捕らわれたユダヤ、ロマ族などが、強制収容所に送られる途中、「15歳以下の子どもとと女性、高齢者」がもう一つの絶滅収容所(抹殺することを目的とする)に送られるという事実。
その暗黒の時代、その証言した老人は、実際にアウシュビッツに送られる列車の中で、実際は15歳なのに16歳と偽り、絶滅収容所に送られず、生き抜いたという話だ。実際、その老人もアウシュビッツで、衰弱した父親が療養所に送られ、生き別れを経験している。療養所というは実は嘘で、ガス室に送られるということを収容所内では、周知の事実だったという。
これを契機に、生徒たちは文献やネット、負の歴史を展示した記念館などに足を運び、歴史の事実を学びはじめる。
そして、生徒たちはどのように、論文をまとめるべきか?・・・を自分たちで手法を思いつき、遂にはプロジェクトチームを編成・・・調べるチーム & 分析しレポートにまとめるチームに分けて、ナチスとフランス、ユダヤやロマ族の人たちがどのような運命が辿っていったのかを事実を集め、自分たちの知見を加えて、論文にしていく。
その過程で、ヒトラーの人種選別戦略を推進していく上で、プロパガンダでいかに人が悪に扇動されていくかに気づき、生の尊厳と和の大切さに目覚めていく。
映画の出来映えに感動したことに加えて、ビジネス社会でもプロジェクトを進めていく上で、学ぶべき点多かった。
◎未知の事象に偏見を持たない
◎まず、調べてから自らの意見を持つ
◎指導者は、答えを言わない
◎受講生が自由闊達な意見交換から答えを導き出すようにヒントを与えるだけ
そうした視点で、映画の主人公の先生は、素晴らしかったですね。
それにしても、フランスというのは、自由と友愛を求めてあらゆる人種、価値を持つ者を受け入れる。その結果、テロの標的になってしまう。
でも、その信念を曲げない。そういう側面で、勇気のある素晴らしい国ですね。感服です。
■ブログ執筆者 近江 業務案内
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近江 隆/オウミ タカシ
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