働き方改革ー日本の迷走/スケープゴートにされた電通

別に電通の方をもつのではないが、最近のブラック企業ランキングで1位に認定されたり、会社と上司が書類送検され、電通の社長は辞任を表明したり・・・これは完全なスケープゴートとしか思えない。

何故なら、これは電通の問題だけではなく、日本社会の病巣そのものだからだ。それは根が深い。工場などは生産管理が高度化されており、早くからオートメーション、ロボットやAIなどを導入したりして、生産性を飛躍的に高めてきたが、事務労働・知的生産を行う現場では、実に時間の効率化は難しい。

特にクリエイティブ関連や企画提案する場合、極端に言えば勤務中以外の電車の中や散歩、テレビを見ながらでも思いを巡らせているわけで、2時間で終わる場合もあれば、徹夜になる場合もある。

ビジネスは顧客があって、付加価値の代償としてお金というご褒美をいただくわけだから、お客様に満足していただけないと、お金をいただけない。その上、納期というものがある。

それを「会社が時短で、午後10時に消灯せよという通達があり、今回の納期は間に合いませんでした。申し訳ございません。」では、顧客は呆れかえるだろう。また、時短や効率化に固守して、生半可な提案で納得して提出。だが、競争相手がいて、相手が徹夜してよいモノを提出したら、コンペや入札でも勝てない。

従って、納期前に余裕をもって文書作成が終わり、プレゼンの練習もできた場合は万事OKだが、様々なクリエイターたちをたばねてプロデュースする仕事では、どうしても納期前に徹夜になってしまうことはたびたび起こる。しかし、それでも目標に向かって一致団結していれば、楽しい仕事であれば、徹夜も苦にならない。

それが経験の浅い、新入から3年目くらいまでは、スキルと経験不足からどうしても仕事が後手後手に回り、焦ってまた遅れるという事態が起こる。しかし、そこで周りが甘やかしてしまうと、その人の才能の限界点を低くしてしまい、高みへのブレイクスルーができなくなる。

一流という人たちはすべて、経験の浅い段階ではもがき、時には徹夜もしながら、自分の限界点を突破していったわけである。

では、どうすれば良いのか? ドイツやフランス、欧州の人々は何故、家に早く帰れて、夏休みを30日から40日も休めるのか?

  • そうした国でも経営者や政治家、政府高官、クリエイターたちは時には徹夜しているらしい。

  • だが、それを労働者全体が、会社のため、国のためと寝食を忘れて働くのは日本とか、韓国くらいではないだろうか?

  • つまり、欧米ではサラリーが高い人やエリートは働く。人生哲学から、自分をブランド化するため、お金のため、高みを目指すため・・・などの目的で。

  • ワークライフバランスを求める人は、そこまで会社や国に尽くさず、自分や家族、人生を謳歌するために働く。

  • でも、日本ではそれを全社員に押しつけようと社会の雰囲気に問題がある。

だから!日本はどうすれば良いのか?!

  • それは根が深い。一朝一夕には解決しないだろう。当然、プレミアム・フライデイという小手先の戦術では、何も変わらない。突然、クレームが来て対処しなければならない。どうしても納期に間に合わせないといけない仕事が残っている・・・などの状況があるのに、一斉に皆さん一緒に退社など、不可能ですよ。

■解決の視点1:会社のムードを変える

  • 他の社員が働いているから帰りにくい、上司が夜遅くまで仕事をしているので、帰れない!・・・これは愚の骨頂

  • 変な一致団結、チームワークは最大の障壁である。

■解決の視点2:知恵のない、緻密な計画のない大号令は真の改革にならない!

  • 最近、記事で目にするのは、「都庁の職員は9時に全員、家に帰りましょう!」、「全社 午後9時には消灯!」、挙げ句の果ては、家でもメールや社の仕事は厳禁!という企業もある。そんなことを急に言われても、気合いだけで時短は実現できるはずがない。「納期はどうするんだ!」「売上目標は達成しなくても良いのか?」という従業員の叫びが聞こえてきそうです。

  • そんな号令は、「競合に勝て!寝食を忘れて、目標に向かえ!」という発言と全く意味は同じである。実際、そんな社長がいるのか?と疑うが、実際、早く帰れ!という言葉しか発しない上司、経営陣がいるそうだ。ちょっとびっくりですね。そんな方は、昭和の化石として、ご退場願いたいですね。

  • 仕事の生産性を上げ、定時に帰りつつ、競合に勝ち収益をあげるために、どうすれば良いか?

  • 専門チームを立ち上げて、科学的に分析し、ボトルネックを特定して、解決策を社全体で考える体制を構築しないと、何も解決しない。

■解決の視点3:幼少の頃よりの教育。社会全体のムードの変革が必要だ。

  • 高校野球は日本の縮図。甲子園に出るために、午後11時、果ては午前2時まで練習することもあるそうだ。

  • 「人生の半分は遊び」「芸術は人生を豊かにするオアシス」と教育されているフランスの真逆ですね。

  • 幼少の頃より、ワークライフバランスの感覚を磨かないと、「社会全体が人生の半分はプライベート・遊び」という気運に変えていかないと。

  • 幼少の頃よりの食育、音楽・芸術・スポーツと勉強・恋愛の両立というワークライフバランスを身につける。そうした意味で、ゆとり教育は正しいと思ったのだが、「ゆとり=怠ける」という方向に行ったことだけが残念。

  • そして、社会全体が休みやすい雰囲気。趣味をもち、家庭も大切にする素晴らしさを共有するムードにならないといけないでしょう。

しかしながら、長い歴史で培われてきた日本の精神・DNA、社会の雰囲気を一朝一夕で変えるのは難しいでしょうね。現に、一億総弾丸!で高度経済成長期を突き進み、GDP世界第2位に到達したDNAはそう簡単に消えませんよね。

だが、一つの答えは、日本電産のケースが成功するかどうかを注視していけば、解決策が見えてくるような気がする。
朝日新聞2016年12月20日 「日本の働き方おかしい」 日本電産・永守会長に聞く より

(引用)
モーター大手の日本電産が「2020年までに社員の残業ゼロ」にする目標を掲げ、社員の働き方を見直している。同社は「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」のモットーを掲げる「ハードワーク」の会社として知られてきた。永守重信会長兼社長に狙いや取り組みを聞いた。

残業ゼロへ500億円投資 「ハードワーク」の日本電産
 ――「残業ゼロ」をめざすとおっしゃっていますね。

 「時代が変わってきている。今のグループ従業員約11万人のうち、日本人は1万人。日本の働き方、考え方だけでは通用しない。欧米にある子会社は残業ゼロなのに業績は悪くない。それをみると、日本の働き方がおかしいんです。売上高が1兆円を超えたら働き方を変えようと考えていた」
(引用終わり)

この指針は、気合いで「早く家に帰れ!ワークライフバランスだよ!」と、号令だけで社員を鼓舞する会社の上層部とは、レベルが違う、相当高みのゴール設定である。読んでいて、感動した。

500億円を投資して、

  • 生産性を上げるためのスーパーコンピュータや最新の設備を投入

  • 改革のための委員会を設置して、社員のアイデアもどんどん募る

  • 社員の意識と生産性を高めるための研修会もどんどん開く

そこまで、ハードとソフトの投資を行って、緻密な計画を立てて推進して、ゴールは4年後に設定。

この日本電産の成功事例が、手本となって、日本の各企業、社会が変わっていけば良いな〜と強く思った今日この頃。働き過ぎて、人生を辞める・・・というような悲劇ができるだけ減る世の中になって欲しいものです。

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