銀山温泉に初見参その6-地方創生の視点での見聞記

銀山温泉

銀山温泉

大正ロマン漂う建物景観と豊な自然景観

銀山温泉の空間に一歩足を踏み入れると、明治・大正時代の空間にタイムスリップしたような旅情に包まれる。

しかし、大正末期から昭和初期に建てられた洋風木造多層の旅館が銀山川の両岸に沿って軒を並べる風景は、一朝一夕で造られたものではないようだ。

■銀山温泉のまちづくりプロジェクト概要
参照サイト:「地域いきいき観光まちづくり」(少し古いが、平成18年8月に国土交通省の発表資料より、引用・要約)

  • プロジェクト名:大正レトロ漂う温泉街で観光振興
  • → 平成12年に「湯のまちづくり委員会」を発足、地域住民・市・学識経験者など、官民一体のまちづくりを実施

  • コンセプト
    大正ロマン漂う建物と自然環境保全を地域の活性化の核として、観光客にどのようにしたら良好な景観を見せられるか、またどのようにしたらおもてなしが出来るかについて、議論を重ね、親しみと潤いのある景観づくりを実施していく

■具体的な実施項目

  • 大正ロマン漂う建物と自然景観が調和した街並をかもし出すため「家並条例」を市で制定し、これを保存修景した。
  • 豪雪地対策に有効な「仮設テント工法」を用いた共同浴場、足湯、ベンチ、花の埴栽配置
  • 美観に視点から「ガス灯の設置」「電線の地中化」を進めた。
  • 銀山川を挟んで両岸に立ち並ぶ、温泉宿・土産屋・食事処など施設を結ぶ「遊歩道橋」を整備し、観光客のそぞろ歩きの利便性を向上させてた。
  • 温泉街のエリアの一般車の進入禁止とエリア手前に大型駐車場を整備し、車の排気ガスやクラクションなどを気にせずに、観光客が楽しく散策できる環境を整備。

■体験プログラムも拡充

  • 銀山廃坑跡の周辺の散策道や公園ならびに銀鉱洞内に歩道橋や照明設備の整備を行い、観光客が散策できる銀山散策コースを開発。浴衣姿で坑内をめぐることのできる全国でも散策コースになっている。
  • 「尾花沢雪まつり」にあわせて、「厳冬の銀山探検ツアー」も実施している。

■まちづくりヒストリー

  • 昭和58年(1983): NHK朝の連続テレビ小説で「おしん」の舞台として、注目を浴びる
  • 昭和61年(1986):「銀山温泉家並保存条例」を制定。温泉街全体で、風情ある景観の保存を推進する流れが強まる。
  • 平成5年(1993): 「第1回厳冬の銀山探検ツアー」を実施。
  • 平成7年(1995): 銀山廃坑跡が国指定史跡に指定される。これをきっかけに、浴衣姿で散策できる銀山廃坑跡コースが整備された。
  • 平成8年(1996): 銀山温泉女将会が発足。町のクリーンアップや橋に花を飾るなどの活動や手話の勉強会の実施など、地域全体で、おもてなしの向上を図る取組みが定着する。
  • 平成12年(2000):「湯のまちづくり委員会」を発足。
  • 平成13年(2001)〜: 源泉をそのまま使用した「和楽足湯(わらしゆ)」や「ガス灯」「遊歩道橋」の整備が実現。一般車両の進入禁止も行われ、観光客へのおもてなしがさらに向上する。
  • 平成16年(2004):電線類地中化事業の完成により温泉街の景観が向上する。

★銀山にかかわる江戸時代からの歴史は、こちらの銀山温泉・公式サイトを参照ください。

■銀山温泉 散策マップ
銀山温泉地図
■銀山温泉の経済的規模(推測)

  • 旅館数:12
  • 全旅館の収容人員:681名
  • 1日の最大売上:13,620千円(宿泊客の平均単価を20,000円と想定)
  • 1年の最大売上:4,971,300千円(宿泊客の平均単価を20,000円と想定)

という感じだが、ネットで調べた範囲では、正確な数値は出てこなかったので、あくまでも推測。蕎麦屋などの食事処、酒屋、土産屋に日帰り客も含めると、年間50億円以上の経済規模があるのでは?

銀山温泉のある「山形県尾花沢市大字銀山新畑」の人口は190人なので、十分潤っているのではないだろうか?

しかし、良いことばかりではないようで・・・

山形・銀山温泉の「旅館藤屋」が民事再生法を申請し倒産 2010年4月14日 出所はこちら

●引用始まり
山形県尾花沢市の銀山温泉で「旅館藤屋」を経営する「ホテル藤屋」は、3月31日付で山形地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し倒産したことが明らかになりました。

江戸時代に創業の同旅館は、4代目が代表を務める大正時代に木造三層の宿へ改築。2006年には大規模な建て替え工事を実施し、業績の伸長を目指していました。

しかし、建て替え時の値上げが仇となり売上は悪化し、景気低迷の影響で集客も低調に推移。建て替え工事の借入金が資金繰りを逼迫したことで、単独での経営再建を諦め、今回の措置に至ったようです。

負債総額は約5億円の見通し。
●引用終わり

私は、知らなかったのですが、この旅館のかつての女将は、オレゴン州から来たアメリカ人「藤ジニー」という方で、マスコミにも大きく取り上げられて、有名だったそうです。どうも彼女は、モダンな改築には反対だったようで、今は離婚し帰国したらしい。離婚の真の理由は計り知れないものですが、すべてが「人間万事塞翁が馬」・・・予測のつかないのが人生であり、まちづくりですね。

追記
旅館藤屋」は民事再生申請後、立ち直り、今も元気に経営しています。

■私感
アベノミクスの看板である「地方創生」においても、地域の人々が気づき、官と有識者と一体となって、「顧客視点」で開発を進むべきと言う点で、大いに学ぶべき成功モデルと言えるでしょう!

戦略

1.地方創生の視点
地域創生を実現するための中心的役割を担うがDMO(Destination Management Organization)=「地域活性化のためのマネジメント組織」の重要性を唱えているが、銀山温泉では「湯のまちづくり委員会」が丁度、その役割を担っている。

2.まちづくりの5つの視点

  • 戦略開発:「湯のまちづくり委員会」が中心となって、官民一体で知恵を絞り、戦略を開発し、各施策を実施した実行力。
  • 歴史的資産を活かす:大正ロマン漂う建物と自然景観が調和した街並をかもし出すため「家並条例」を市で制定し、これを保存修景した。
  • 新シンボルの創造:共同浴場、足湯、ベンチ、花の埴栽配置や銀山跡をめぐる散策コースを開発。
  • まちなみ整備:「ガス灯の設置」「電線の地中化」「遊歩道橋」の整備、温泉街のエリアの一般車の進入禁止を実施して、観光客が楽しく散策できる環境を整備。
  • 交通インフラ:辺境の地であるため、車利用以外の観光客は市バスの利用になるなど、不便。まだ不十分だが、交通機関との連携で「山形空港から65分で週末トリップ」を開発したり、各旅館が奥羽本線の「大石田駅(山形新幹線の山形駅から約40分)」や仙台からのバスの主要駅である「尾花沢バスストップ」からの送迎を行うなど、鋭意努力している。

以上、大正時代風の建物や温泉にも恵まれたというメリットもあったが、交通の便の悪い辺境の地が、ここまで商売繁盛につなげたというのは、誠に凄く!感服する次第です。

昨年行った城崎温泉は風情があったが、車が行き来が多く、遠慮しながら散策しないといけない空間で、興趣をそがれた感は否めなかった。

そうした現状は、日本の多くの観光地で見られる。その点、銀山温泉は車の進入禁止とガス灯や遊歩道などによる美観向上を実現。地元民と官が一体となって、楽しく散策できる環境整備を行ったことが特筆されるのではないでしょうか!

補助金や交付金なども必要だが、地域のリーダーとエリアマネジメント組織の実行力が、成功の鍵を握るのですね。たった1泊2日の滞在だったが、たいへん勉強になった充実の二日間でした。

ご興味のある方は、ぜひ銀山温泉へ!
温泉街を散策するだけでも、風情がありますよ!

観光については、銀山温泉の公式サイトをご覧ください。

■スライドショー 撮影:2016年2月11日・12日

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